#003 税の本質と円の流通 「モズラーの名刺」

あなたは税金とは何か考えたことがあるだろうか?
おそらく大半の方の回答が、国や地方が行う政策や、公務員の給料の財源という認識していると思われる。
私の考えでは、その答えの半分は正解だが、半分は不正解だ。

なぜなら、#002 扇の要 「税と財源」「国債」 でも解説したように、政府は国債発行という手段を用いて、インフレ率の許す限りは貨幣発行を行える。
いわゆる国は通貨発行権を持っているため、税は財源にはあたらないが、地方は通貨発行権を持たないため話は別であるが、そのことはまた別の投稿で説明する。

今回は税の本質の一つ「貨幣の流通手段」という点を「モズラーの名刺」という例を用いて紹介していこうと思う。

ちなみに本紹介は、筆者が「モズラーの名刺」を聞いた後、よりわかりやすいように要所要所で、別の設定などを足しているため、本来の話とは少し異なる点が含まれるが、ご承知願いたい。

モズラーの名刺

モズラーさんは大富豪で、5人の子供がいた。
家もそれは大豪邸で、一人で掃除するには大きすぎた。

ある日モズラーさんは、子供たちにも掃除を手伝ってもらおうと、あるルールを考えた。

モズラー
モズラー

掃除をした人には、私の名刺をあげよう。
皿洗いは1枚、箒とモップ掛けは2枚、トイレ掃除、風呂掃除、庭の手入れは3枚、などなど。。。
年末になったら私の名刺を50枚持ってきなさい。
もし50枚持ってこれなかった子は、この家から出て行ってもらいます (ニッコリ)

子供たち一同
子供たち一同

えええええええええ!!

それからというもの、子供たちは自ら積極的に掃除をし、名刺を集めるようになりました。

そして、ある日

子供A
子供A

学校の宿題がわからない。。。B!君勉強得意だよね!僕の代わりに宿題やってよ!

子供B
子供B

いいけど、ただでやるのは嫌だし、、、じゃ、名刺5枚でどうかな?

背に腹は代えられない!はい、名刺5枚!!

毎度あり!!

ある子は名刺数枚と好きなお菓子を交換したり、またある子は大量の名刺とおもちゃを交換したり、
子供たちは、いつしかモズラーの名刺を交換券のように扱うようになりました

まとめ

金でも、銀でも、はたまたダイヤでもない、名刺だけがモズラー家内で流通する貨幣なのです。
なぜなら、50枚の名刺をモズラーに渡すことのみが、「家から追い出されない」という権利を子供たちが得るための唯一の手段なのだから。

どうだろうか?勘のいい方は気付かれたと思うが、

ここでいう税とは、モズラーによる年末の名刺回収を表し、名刺は貨幣を表している。

国は「50枚の名刺を渡せず追い出される」=「加算税、延滞税、追徴課税」という強制力を元に、徴税を行っているのである。

ここからわかることは、政府が円のみを納税の手段として認めていることこそが、日本円が日本国内で流通している理由なのである。

どうだったでしょうか?この記事が、読んだあなたの「税の役割」に関しての認識が、少しでも深まったのであれば幸いである。

コーヒーのんでほっと一息ついてこ~

余談

モズラーの名刺が面白いのは、ここから発展させられる展開の多さである。
1年に名刺を集めた数の多寡に順じて、回収する名刺の数に差をつける=累進制、ビルトインスタビライザー
モズラーは掃除をお願いするために名刺を集めてなどいない=スペンディングファースト
モズラーが名刺の配布をやめて、何の価値もないただの紙切れを代替品として使用する=紙幣、硬貨の本質
交換するモノの希少性や、依頼される人の独自性などに応じて名刺の数が変わる=需要と供給
名刺を盗むやつが現れ、保管する役割ができる=銀行の出現
保管係が名刺の交換をノートで記録し、最終的に名刺自体ではなく、記録でやり取りを行うようになる=お金の本質
記帳係が名刺のただの記録化に気づき、実際に手元にない量の名刺を、貸した記録と借用証書でやりくりする=信用創造
など、貨幣や税の役割をより詳しく説明する際に、便利である。

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